相続での財産分与の問題は本当に大変なことです。
お父様がお亡くなりになり、悲しみに明け暮れ、ようやく法事が終わってほっとしたのも束の間、次はご兄弟とお金の話をしなければなりません。

ご兄弟双方の言い分は事情を鑑みても十分に理解できるお話なのでなおさらこじれてしまいますよね。

心労お察しします。

さてご質問の件ですが、・・・

弟さんの持分を買い取るためにお兄さんが金融機関から借入れを行うことはもちろん可能です。
ただしこの場合、通常の住宅ローンの借入れと違い、
①返済期間が短いこと、②金利が高いこと
が挙げられます。

少額の借入れをされるのであればお兄さん夫婦も返済は可能でしょう。ただしおいくら借入れされるかわかりませんが、相続の持分1/3の買取金額となれば結構な金額になると思います。

またご懸念されている「お兄さんが支払い困難になった場合」ですがお兄さんの持分だけでなく、みなさんの分もまとめて競売の対象になります。

ちなみに相談者ご自身の持分についてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。お兄さんに持分の買取を希望されますか？それともお兄さんに持分を譲り渡しますか？

もしお兄さんに弟さんと相談者様の持分を買い取ってもらう場合、その支払額は2倍になります。果たしてお兄さんは本当に支払っていけるのでしょうか。

少なくともお兄さん夫婦がご自宅を売却すれば現金ができ、容易にお金を分けることができます。

そのお金でお兄さん夫婦はマイホームを購入することも可能です。その際の住宅ローンの金利は抑えられ、長期間の借入れも可能なので月々の返済金額は持分買取の借入れの際と違い、ぐっと安くなるでしょう。

築年数の経過した戸建てなどはリフォーム費用など急な出費がかさむものです。そういうことを踏まえた上でご決断いただいた方がよろしいかと思います。

全日本任意売却支援協会ではお兄さんと同様、持分買取のために金利の高い不動産担保ローン会社から借入れをされ、最終的に競売になった方をたくさん見てきました。

だからこそ安易な決断はして欲しくないのです。

どんな顛末が待ち構えているのかも十分に検証しながら、どのような形で財産分与を行うのがベストなのか、しっかりとお話し合いをされてみてはいかがでしょうか。